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パーフェクト・アルバム シリーズ

The Beatles

Abbey Roadその物語と、手に入れる価値のある盤

日の差すリスニング・ルームで、ターンテーブルの横に置かれた『アビイ・ロード』のLPジャケットとCDケース。
1969年9月26日、Appleより発売。

要点

  • 『アビイ・ロード』はビートルズが最後に録音したアルバムです。発売は『レット・イット・ビー』のほうが後でした。
  • 『アビイ・ロード』のB面の大半は、未完成の断片8曲をつないだ16分のメドレーです。
  • タワーレコード オンラインで新品で買える『アビイ・ロード』のLPは、ジャイルズ・マーティンによる2019年ミックスの盤だけです。
  • 1969年のミックスをアナログ盤で聴くなら中古です。後年のApple盤か、2012年のLPを探してください。
  • CDでは、2009年リマスターが1969年のミックス、2019年の50周年記念盤が新しいミックスです。

『アビイ・ロード』(Abbey Road)を作ったのは、自分たちのお金を誰に任せるかで、もう意見がまとまらなくなったバンドでした。オリンピック・スタジオでの業務の会合で、ビートルズは3対1でアラン・クレインを迎えることを決めました。反対したのはポール・マッカートニーで、4人の意見が割れたのはこれが初めてです。「あれは自由の鐘のひびだった」とマッカートニーは語っています。「あのあと、元どおりになることは二度となかった」。プロデューサーのジョージ・マーティンは、『レット・イット・ビー』の後はもう彼らと仕事をすることはないと考えていました。マッカートニーがもう一枚作りたいと電話してきたとき、マーティンは条件を出しています。「昔のやり方でプロデュースさせてくれるなら」。アルバム発売の6日前、ジョン・レノンはマッカートニー、リンゴ・スター、クレインに「離婚したい」と告げました。スタジオにいた彼らが、これで終わりだとわかっていたのかどうかは、今も議論が分かれています。3人が次のアルバムの相談をしているテープを所有するビートルズ研究家のマーク・ルイソンは、そこに「ほぼ全面的に前向きな気持ち」のバンドを聴き取っています。そして彼らが残したレコードは、「Come Together」から、はぐれたような終幕の「Her Majesty」まで、17曲すべてに弱い曲が一つもありません。

どんなレコードなのか

実のところ、二枚のレコードが片面ずつ入っているようなものです。A面は独立した6曲。B面はさらに2曲で始まり、そこからセッション中に「ザ・ロング・ワン」と呼ばれていた、8曲をつないだ16分のメドレーに入ります。この形は、独立した曲を望んだレノンと、『サージェント・ペパー』(Sgt. Pepper)のような組曲を望んだマッカートニーとマーティンの妥協だった、と語られるのが普通です。それぞれの面が、それぞれの望みをかなえました。

ビートルズのアルバムで初めて、全編を8トラックのテープと、EMIのトランジスタ卓TG12345で録音した作品でもあります。エンジニアのジェフ・エメリックはMusicRadarに、その卓には「全チャンネルにリミッターとコンプレッサーが付いていた」と振り返っています。トラック数が増えたことで、スターのドラムを初めてステレオで録ることもできました。ジョージ・ハリスンはモーグ・シンセサイザーを買い込んでいて、「Maxwell’s Silver Hammer」から「Because」まで4曲で聴くことができます。「取扱説明書なんてなかった」と、彼は『アンソロジー』で語っています。

1969年の批評は割れていました。半世紀後、『ローリング・ストーン』誌は2020年の「史上最高のアルバム500」で、この作品を5位に選んでいます。

三つのスタジオで過ごした半年

最初のセッションは1969年2月22日、ソーホーのトライデント・スタジオでした。ここで「I Want You (She’s So Heavy)」のベーシック・トラックが録られ、ハモンド・オルガンをビリー・プレストンが弾いています。その後の作業は、トライデント、バーンズのオリンピック・サウンド・スタジオ、そしてアビイ・ロードにあるEMIスタジオを行き来しました。EMIスタジオが通りの名前を名乗るのは、アルバムより後の1976年です。7月と8月、バンドはEMIの第2スタジオを午後2時30分から夜10時まで押さえました。

予約の初日は7月1日で、レノンがスコットランドで自動車事故を起こした日でもありました。ほかの3人は7月9日まで彼抜きで作業を続けます。戻ってきたレノンには、彼より重傷で、妊娠中だったオノ・ヨーコが付き添っていました。レノンはハロッズにダブルベッドをスタジオまで届けさせ、ヨーコはマイクを頭上に吊るしたそのベッドに横になっていました。

それでもハリスンは『アンソロジー』で、この夏をいくらか良い時期として振り返っています。「アルバムの間に、少し前向きになっていった……メドレー全体を演奏できた……実際、また前よりミュージシャンらしく演奏していたんだ」。1969年8月20日、4人は曲順を決め、「I Want You」をミックスしました。それが、ビートルズの4人がそろってスタジオにいた最後の日です。 『アビイ・ロード』は彼らが最後に録音したアルバムで、先に始まっていた『レット・イット・ビー』は、この後に仕上げられ、発売されました。

収録曲

「Something」と「Come Together」は両A面シングルとして、アメリカで1969年10月6日、イギリスで10月31日に発売されました。ハリスンにとって、ビートルズで初めてのA面です。ビルボードのチャートで1週1位になり、イギリスでは4位まで上がりました。アルバムはイギリスで通算17週1位を記録し、その間の1週だけローリング・ストーンズの『レット・イット・ブリード』に首位を譲っています。アメリカでは11週1位でした。日本でもオリコンのLPチャートで最高3位となり、1970年代を通じてトップ100に298週とどまっています。

本人たちの言葉

マーティンは『アンソロジー』で、これを「とても幸せなレコード」と呼びました。「みんな、これが最後になると思っていたから幸せだったんだろう」。彼らが何を知っていたかについては、慎重に言葉を選んでいます。「最後のアルバムになると確かに知っていた者は誰もいない。でも、みんなそう感じていた」。そして、この作品が好きな理由は単純でした。「全員が実によく働いた。だから、とても気に入っているんだ」。

レノンは自分の作ったものについて何度も考えを変え、そのどれにも日付があります。1969年には、『アンソロジー』に再録された発言で、メドレーの自作曲をこう説明しています。「なんとなく意味が通るまで、あちこち入れ替えた……インドで書いた、仕上がっただけのくだらない断片さ」。1年後には、『Lennon Remembers』として出版されたインタビューでジャン・ウェナーに語っています。「A面は好きだった。もう一方の面のポップ・オペラみたいなのは、ずっと好きじゃなかった。がらくただと思う」。全体については、「よくできたアルバムだった。ある意味『ラバー・ソウル』みたいに……でも、本当の意味での生気がなかった」。そして1980年、シェフには「『アビイ・ロード』は、本当は未完成の曲を全部くっつけたものだった」と話しています。

くっつけたのは誰か。マッカートニーは『アンソロジー』で、この問いに慎重に答えています。「余った断片をまとめようというのは、たぶん僕のアイデアだったと思う。でも、こういうことを自分の手柄にするのは少し気が引ける」。マーティンは同じ本で自分の役割も主張し、マッカートニーと二人で「長いほうの面をまとめた」、そして「ジョンは強く反対した」と語っています。

同じく『アンソロジー』で、スターはその面をレノンとは違うふうに聴いていました。「『レット・イット・ビー』の悪夢の後で、『アビイ・ロード』はうまくいった。B面は見事だよ。あの狂気の灰の中から生まれた最後のパートは、僕にとって、僕らが組み上げた中でも最高の作品の一つだ」。

ハリスンは初めてのA面を軽く受け流しました。「これまでにB面を何曲かいただいたけど、A面は今回が初めてなんだ。大したことじゃないだろ?」と、1969年10月8日にBBCのデヴィッド・ウィッグに語っています。

アップルでの会合を収めたルイソンのテープには、3人が率直に言い合う様子が残っています。レノンはマッカートニーに、グループのほかの誰も「Maxwell’s Silver Hammer」を「気に入って」いなかったと言います。マッカートニー、「好きだから録音したんだ」。続けてマッカートニー、「このアルバムまで、ジョージの曲はそれほど良くないと思ってた」。ハリスン、「それは好みの問題だよ。ずっと前から、みんな僕の曲を気に入ってくれてる」。

ジャケット

写真はイアン・マクミランが1969年8月8日の昼前に撮りました。警官が車を止めている間に、アビイ・ロードの真ん中に置いた脚立の上からの撮影です。マッカートニーのスケッチをもとにしていて、撮影は数分で終わりました。多くの記録は6コマとしていますが、スタジオの歴史を書いたブライアン・サウスオールは2009年、BBCニュースに「7、8枚しか撮っていない」と話しています。マッカートニーは拡大鏡で見比べたうえで、5枚目を選びました。画面の左から右へ、デニムのハリスン、裸足で足並みのそろわないマッカートニー、黒のスター、そして先頭を歩く白のレノン。後ろに停まっている白いフォルクスワーゲン・ビートルは、向かいのフラットの住人のものでした。

デザインはアップルのクリエイティブ・ディレクター、ジョン・コッシュによるもので、英国オリジナルのビートルズのジャケットで、表にバンド名もタイトルもないのはこれだけです。「バンド名をジャケットに書く必要はないと言い張ったんだ。なにしろ世界一有名なバンドなんだから。EMIは、バンドが誰なのか書かなければ1枚も売れないと言ったけど、僕が押し通して、それでうまくいった」と、コッシュは2009年にBBCニュースに語っています。

この写真が無邪気なままでいられた期間は、長くありませんでした。「ポール死亡説」を信じる人たちは、これを葬列と読み解きます。裸足のマッカートニー、右手のたばこ、そしてビートルのナンバー・プレートLMW 281Fを「28 IF」と読んだのです。スターは1969年10月23日、ニューヨークのラジオ局WMCAのアレックス・ベネットとの対話で答えています。「信じたい人は信じるだろう。僕に言えるのは、それは本当じゃないということだけだ」。2010年12月には、横断歩道そのものが「文化的・歴史的な重要性」を理由に、英国の指定建造物グレードIIに登録されました。

ジャケット自体にも、盤の年代をすぐに見分けられる点が二つあります。英国初回印刷の裏ジャケットではアップルのロゴがずれていて、後に直されました。米国初回印刷では写真がトリミングされておらず、画面の下に四角い金属の路面の蓋が写っています。詳しくは、下のプレスの項で説明します。

どの盤を買うか

盤を選ぶ前に、どちらのミックスが欲しいかを決めてください。売られているミックスは2種類あるからです。1969年のステレオ・ミックスは、オリジナル盤、1980年のモービル・フィデリティのLP、1987年と2009年のCD、2012年のLPに収められています。2019年の50周年記念盤はすべて、そして2025年以降にプレスされたLPも、ジャイルズ・マーティンとサム・オケルがオリジナルの8トラック・テープから作った新しいステレオ・ミックスです。リミックスは声や楽器のバランスそのものを組み直すので、同じレコードのきれいなコピーではなく、別のレコードになります。違いはオリジナル、再発、リマスター、リミックスのガイドで説明しています。

アナログ盤

ショップの価格は2026年9月29日に確認しました。中古の相場は、各版のDiscogsリンクからご覧ください。

もっとも納得のいく買い方

CD

日本では1983年5月21日に、東芝EMIがCP35-3016としてこのアルバムをCD化しています。世界共通の最初のCDは1987年のCDP 7 46446 2で、「Digitally re-mastered ℗ 1987」と表記され、中古はDiscogsで見つかります。タワーレコード オンラインでは、この1987年盤は廃盤です。

中古盤で確認すること

まずランアウトです。英国オリジナルならYEX 749-2とYEX 750-1を、米国盤なら、どこでプレスされたかを示す工場の印を探します。読み方はマトリクス番号のガイドで説明しています。次にジャケットとレーベル。裏のアップルのロゴ、米国盤の表の路面の蓋、そして「Her Majesty」の表記があるかどうかです。2019年のLPでは、ランアウトの「MILES」がハーフ・スピードのカッティング、「BP36617」が2025年のカッティングを示します。CDなら、カタログ番号とリマスターの表記を読んでください。どこを見るかは中古CDの買い方にまとめています。

盤が届いたら、Record by Recordにその版を記録しておきましょう。カタログ番号、ミックス、年。この先勧められるどの「初回プレス」も、それと比べて判断できます。

よくある質問

なぜアルバムの名前は『アビイ・ロード』なのですか?

仮タイトルは『エヴェレスト』で、エンジニアのジェフ・エメリックが吸っていたたばこの銘柄から取ったものでした。代わりにマッカートニーが提案したのが、EMIのスタジオの前を通る通りの名前です。『アンソロジー』では理由を二つ続けて挙げています。「僕らがいるスタジオだし……ちょっと修道院みたいな響きがあるから」。スタジオが通りの名前を名乗るのは1976年、アルバムの7年後のことです。

『アビイ・ロード』のモノラル盤はありますか?

ありません。どの国でもモノラルで出なかった、最初のビートルズのアルバムです。モノラルのミックス自体がなく、モノラルのオリジナルをうたう出品は誤りです。同じ理由で、モノラル盤を集めたボックス『The Beatles in Mono』にも入っていません。このページの盤はすべてステレオで、スーパー・デラックスはブルーレイにサラウンドのミックスを加えています。

1969年当時、批評家は『アビイ・ロード』をどう評価しましたか?

評価は割れていました。ニック・コーンは1969年10月5日のニューヨーク・タイムズ紙で、メドレーを『ラバー・ソウル』以来の見事な音楽としつつ、曲単位では「特別なものではない」と書きました。ジョン・メンデルソンは11月15日のローリング・ストーン誌で「息をのむほど見事な録音」と評しています。ライフ誌のアルバート・ゴールドマンは「ビートルズの偉大なアルバムではない」と率直です。

ジャケットの白いフォルクスワーゲンはどうなりましたか?

ナンバー・プレートのLMW 281Fは、何度も盗まれました。車そのものは1986年に2,530ポンドで競売にかけられ、のちにドイツの博物館で展示されました。ビートルズ・バイブルはヴォルフスブルクのアウトシュタットと書いていますが、ウィキペディアはドイツの博物館とだけ記しています。見に行く予定を立てる前に、確かめておいてください。

ビートルズは『アビイ・ロード』の後にもアルバムを作るつもりでしたか?

テープの上では、そうです。入院中のスターのためにレノンが録ったアップルでの会合で、マーク・ルイソンは1969年9月8日としています。次作は自分、マッカートニー、ハリスンが4曲ずつ、スターが2曲、それにクリスマス・シングル、というのがレノンの案です。12日後に彼は抜けたいと告げますが、公表は1970年4月のマッカートニーの脱退表明です。

参考資料

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  2. en.wikipedia.org/wiki/Come_Together
  3. en.wikipedia.org/wiki/Something_(Beatles_song)
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  8. en.wikipedia.org/wiki/Here_Comes_the_Sun
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